本文へスキップ

とらまるコンサルティングは徳島県徳島市の特定社会保険労務士事務所です。 

TEL. 088-631-0685

〒770-0047 徳島市名東町2丁目706−9

HR関係記事HR Articles

働き方改革とは。

安倍内閣においての目玉政策のひとつとして、「働き方改革」が掲げられています。
その概要はどのようなものなのか。

平成28年9月27日に開催された働き方改革実現会議の第1回会議議事録から、安倍総理の発言を引用します。

(引用ここから)
「働き方改革」のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。中間層が厚みを増し、より多く消費をし、より多くの方が家族を持てるようにしなければなりません。そうなれば、日本の出生率は改善していくわけであります。
長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性、高齢者も、仕事に就きやすくなります。経営者は、どのように働いてもらうかに関心を高め、労働生産性が向上していきます。働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段であると思います。働き方改革は、社会問題であるだけでなく、経済問題であります。我々は労働参加率を上昇させなければなりません。そして賃金を上昇させなければなりません。
働き方改革のテーマは、同一労働同一賃金と36(サブロク)協定の在り方だけではありません。高い問題意識で取り組む必要があります。ロボットからビッグデータ、AIまで、デジタル技術の活用が進む中で、働き方も間違いなく変わってきます。本日の有識者の皆様の御意見も踏まえて、本会議では、当面、次のようなテーマを取り上げていきたいと考えます。
1番目に、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善。
2番目に、賃金引き上げと労働生産性の向上。
3番目に、時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正。
4番目に、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を
固定化させない教育の問題。
5番目に、テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方。
6番目に、働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しや
すい環境整備。
7番目に、高齢者の就業促進。
8番目に、病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立。
9番目に、外国人材の受入れの問題。
(引用ここまで、内閣府 働き方改革実現会議 第1回会議議事録より引用)

ニッポン一億総活躍プランや産業競争力会議その他の資料なども総合して考えると、「働き方改革」は以下のようなものといえるのではないかと思います。

少子高齢化の進展を背景とした対策であること。
少子高齢化の元凶の一つとなっている長時間労働の是正とワーク・ライフ・バランスの改善を目指すものであること。
ワーク・ライフ・バランスの改善により、少子化に歯止めをかけ、人口構成を改善し、バランスのとれた社会を目指すものであること。
労働時間短縮の一方で、労働生産性の向上に取り組み、効率的な働き方の推進により、産業競争力を維持・向上することを目指すものであること。
新卒から定年まで一つの企業に在籍することを基本とし、一度脱落すると再チャレンジすることが極めて難しかった労働慣行を改め、中途採用でも活躍することができる労働雇用システムにしていくこと。

少子化による労働力不足に向け、幼い子を持つ女性や高齢者、病気の人、介護者など、これまでの労働慣行では働くことが難しかった人たちの労働参加を促し、労働力不足を解消する取り組みであること。
産業構造の激変やIT技術の飛躍的進展などに社会が対応できるよう、労働移動を柔軟に行うことを目指すものであること。
限定正社員やテレワークなどの多様な働き方を導入するなど、働きやすい環境づくりを目指すものであること。
非正規雇用に代表される働き方の差異による収入格差を是正し、消費力を引き上げて国内経済を活性化させるものでもあること。
よって、雇用対策だけでなく、経済対策の中核的施策でもあること。


個人的には、「働き方改革」は、労働政策というより、経済政策、社会政策という側面が強いように思います。
少子高齢化が進展し、若年層が少なくなると年金制度や健康保険制度の維持が難しくなります。
少子化を食い止め、次代を担う子供たちを育てることは社会全体で行うべき重要な仕事であると思います。
そのために、無駄な長時間労働をなくし、労働者が早く帰ることができるようにすることが必要です。
調査統計によれば夫が家事に協力しない夫婦では、妻は第2子以降の出産をあきらめる傾向があります。

(資料出所:内閣府「平成28年版少子化対策白書」)

女性だけでなく、男性の長時間労働をも削減することで、私たちの国では、少子化を食い止めることができる可能性があります。



(国立社会保障・人口問題研究所による推計資料より作成、単位はいずれも千人)

一方で、個々の企業においては、自分たちの事業には関係ないという考えもあるかもしれません。
しかし、現実に人手不足により事業運営に支障をきたすという事例が起こりつつあり、また、新卒採用に成功しても、定着しないという問題を抱える企業も少なくありません。
少子高齢化や人口減少が労働力不足など社会に及ぼす問題は、個々の企業の問題であり、社会全体の問題でもあると言え、個々の企業が取組を行っていくことで、社会全体として取り組み、克服すべき問題なのではないかと思います。

近い将来起こるかもしれない人手不足に備えること、そして、一度は終身雇用のコースから外れたけれども、再チャレンジを志す有為な人材に、快適に働ける場所を提供すること、そして、家庭の問題その他で、その企業で、これまでの働き方では勤務継続が難しくなった人たちに、快適に働き続け、力を十分に発揮して企業のために、社会のために貢献してもらうために、働き方の改善、働き方の改革が必要なのではないでしょうか。

労働力が足りなければ残業させればよい、と短絡的に考えれば済んだ労務管理は終わりを迎えているように思います。
過度な残業による過労とその結果引き起こされる過労死や精神障害に対して社会の目は厳しくなり、過労自殺者を出した企業は厳しく指弾される傾向にあります。
また、残業時間が多い企業は、それだけで「ブラック企業」と呼ばれてインターネットを中心に情報が拡散することもあるようです。
一方で、無駄な残業を抑え、働きやすい環境を整備することで、労働時間を削減しながら業績を上げることも可能です。
厚生労働省では、「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」を作成し、労働者の働きやすさと意欲、業績との関連性に関する調査結果を掲載していました。(現在は閉鎖)
それによると、働きやすい環境にある労働者は仕事への意欲が高く、企業は業績の高い傾向にあること、逆に働きやすくない環境にある労働者は仕事への意欲が低く、業績も下がる傾向にあることが明らかになっています。



(資料出所:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」)

上のグラフでは、「働きがい」についても調査しています。
ならば、「働きがい」さえ与えていればいいのか、という問いも生まれます。
ただし、「働きがい」を得ている労働者が、いつまで「働きがい」を感じていてくれるのかという問題はあると思います。
それに、いつまで働き続けてくれるのか。

(資料出所:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」)

企業では様々な業務があり、その業務を誰かが担わなくてはならないことから、「働きがい」は必ずしもすべての労働者に与え得るものではないと思います。
しかし、「働きやすい環境」は、制度などを整備することにより、すべての労働者に与えることができます。
企業としては、なるべく多くの人たちに「働きがい」を感じてもらうようにしながら、同時に、「働きやすさ」も感じてもらう必要があると思います。
「働きやすい」環境を整備することで、労働者が意欲的に仕事をしてくれるのなら、これは、企業にとって最高の資産ということにならないでしょうか。

個々の企業における「働き方改革」は、まずは多くの人に「働きやすさ」を感じてもらえるような環境づくりを整備することがから始めることが良いと思います。
労働者は、その長い職業人生の中で、様々な問題や環境の変化に直面することがあります。
その時に、離職という結果を安直に取るようなことのないように、企業の側で様々な取り組みを行ってみてはどうでしょうか。
現在の労働法制度上でも、できることは多くあります。
取組を行うことで、たとえ実際に利用はされなかったとしても、個々の従業員に対して、「あなたたちを大事にしている」というメッセージを送ることができます。
従業員を大切にする企業と大切にしない企業。
どちらがこれからの時代を生き残れるでしょうか。
働き方改革は、これからの時代を生きようとする企業にとって、取り組むべきものになるのではないかと思われます。

当事務所では、企業の「働き方改革」に向けて、労働法の面からサポートします。
当事務所では、労働者の働きやすい環境づくりと、女性や高齢者などが働きやすいような雇用制度づくりをサポートします。


最終更新:R4年3月12日

バナースペース

とらまるコンサルティング

特定社会保険労務士事務所

〒770-0047
徳島市名東町2丁目706−9

TEL 088-631-0685
FAX 088-635-0685

https://txsr.at-ninja.jp/
ホームページ開設日:
 平成24年11月4日